なろう系小説の中でも、一風変わった「勘違い系」ジャンルをご存知ですか?
主人公や周囲のキャラクターが大きな誤解を抱いたまま物語が進むことで、シュールな状況やギャグ展開を生むこのジャンルは、多くの読者に愛されています。
勘違いから生まれる予想外の展開や、意図しないまま持ち上げられていく主人公の姿は、一度読み始めたら止まらない魅力を持っています。
本記事では、特に初心者の方でも楽しめる、完結済みの勘違い系なろう小説の中からオススメの4作品を紹介します。
これらの作品は、どれもストーリーがしっかり完結しているので、最後まで一気に読み進めることができます。
各作品のあらすじや魅力を詳しく解説し、どれを読むべきか迷っている方の参考になる情報を提供します。
このブログを読んで、勘違い系なろう小説の魅力をたっぷりと味わってください。
きっと、新たなお気に入りの一冊が見つかることでしょう。
それでは、さっそくおすすめの4作品を見ていきましょう。
ハルジオン~口だけ野郎一代記~
春風紫苑は己を愛している。否、己しか愛していない。
己を良く見せることにだけ全霊を注ぎ、全力で口車を回している。
その結果として僕っ娘メンヘラやメンヘラロリに目をつけられるのだが、口車は止らない。
これは自業自得の物語である――――そこには一切同情すべき点は無い。
膨れ上がる虚像、加速するメンヘラ。さあ、道化芝居を始めよう!
オススメ度
筆者が初めて読んだ勘違い系の作品。
主人公の外面の良さと内心のドクズさのギャップで爆笑必至のローファンタジーです。
周囲は主人公のことを現代の聖人と崇めたり尊敬しているものの、そんな仲間達をひたすら内心でディスる主人公。
間違いなく性格は最悪の部類なのですが、悪く思われるのは嫌なので全力で見栄を張って周りをダマし続けます。
ダンジョンが生まれて久しい現代にて冒険者としてある程度稼いで早期リタイアを狙うのですが、自身の見栄っ張りなところと保身のせいで、期待の新人としてあれよあれよと高難易度のダンジョンに放り込まれる自業自得っぷりが最高に笑えます。
本筋となるストーリーは神話や歴史上の有名人物に絡めたものとなっており、最終的に人類VSあらゆる神話の神々という構図になります。
宗教上の神や神話の英雄を登場させることもできるのがWeb小説の特色ですね。
書籍化もされかけたのですが、ポシャってしまったのは正しく宗教上の理由かもしれません。
RPGとして出してもめちゃくちゃ売れそうなくらい面白いストーリーなので、報われてほしいですね。
なろうURL
https://ncode.syosetu.com/n9485cg/
自分をSSS級だと思い込んでいるC級魔術学生
実は学園最強の男が、普段は本当の実力を隠して平凡な学生を演じている──。
……そんな妄想をしながら、日々の学園生活を送る男がいた。
その男には、紛れもなくC級魔術学生レベルの実力しかない。
最強の力は、男の妄想の中にしか存在しない。
しかしその男は、妄想の中の力が現実のものであるかのような行動を繰り返す。
弱い者をイジめる格上の学生達の前に立ちはだかり、明らかに勝てるはずのない悪党の前に立ちはだかる。
危機的な状況の中で、「妄想の世界の自分」のように立ち振る舞う。
そして──。
「終焉の黒殲龍、か……。──お手並み拝見と行こうじゃないか」
そのイカれた男は、世界最強のドラゴンの前にさえ立ちはだかる……。
これは、一人のトチ狂ったC級魔術学生の物語。

オススメ度
タイトルとあらすじの通り、だいぶこじらせてしまった学生があたかも最強格かのように振る舞い周囲を誤解させる、勘違い系小説の面白いポイントがすべて詰まったハイファンタジー作品です。
魔術の才能が全くないにもかかわらず、魔術を愛し、文字通り血反吐を吐きながら常人の何十倍もの量の鍛錬を続ける主人公。
これであればすごい努力家で好感もてるのですが、思春期に突入すると色々感性がねじ曲がり、「本来はSSS級の実力者であるが、その事実を周りに隠している」という振る舞いをすることで悦に浸る悲しきモンスターへと成り果ててしまいました。
確かに周りからは実力を隠したミステリアスな人物に見えると思うのですが、主人公はヒィヒィしながらそれでも周りを勘違いさせていることに喜んでいることが地の文で読者には分かるので、色々と台無し感がすごいです笑
しかし自分が弱いことがいつバレてもおかしくない環境にいるはずなのに主人公の機転(?)で実力者であると誤認させたままトラブルを解決する姿は読み進めるごとにカッコよく見えてきます。
何事も突き詰めると格好いいんだなぁと読み終わる頃には思える、そんな作品です。
なろうURL
https://ncode.syosetu.com/n8037et/
偽・聖剣物語 ~幼なじみの聖女を売ったら道連れにされた~
【勇者アリスターは、聖剣■■■■■■を扱い多くの人々を救った伝説の勇者である。そんな彼と常に共にあったのが、聖女マガリ。二人は底なしの優しさと慈愛の精神で、たとえ自分たちがどれほど危険な目に合おうとも困難や理不尽に苦しむ人々を救ってきた。この書は、史上最高の勇者と聖女と名高い二人の伝説を記したものである】
『聖剣伝説』まえがきより抜粋。
幼なじみのマガリが聖女に選ばれた。
これから、王都で誰にも笑顔を振りまき、マナーとかダンスとか恐ろしく堅苦しい世界で生きていかなければならないらしい。
生まれてからずっと一緒にいたんだ。やはり、思うところはある。
俺は一抹の寂しさを感じつつ……何が何でも逃げ出そうとしていた幼なじみを羽交い絞めにして迎えに来た騎士に突き出した。
「アリスタあああああああああああ!!」
怨嗟の声が聞こえたけど気のせい気のせい。
最後の悪あがきで王都まで見送りに付き合わされる……が、とくに何もなく無事終わる。
「じゃあ、俺は帰るから。頑張ってな^^」
恨みがましい目を向けてくる幼馴染に背を向けて帰路に着いた俺は……ゴブリンに追い掛け回されていた。
「いやあああああ!! 誰か助けてえええええええええ!!」
これは、性格が最低な勇者と聖女が全力で脚を引っ張り合いつつ幸せな生活を追い求める勘違い英雄伝説である。

オススメ度
こちらはハルジオン同様に外面は取り繕っているものの、中身が終わっているキャラが主人公の作品です。
特徴的なのはヒロインも性格が終わっていることですね。
あらすじでも垣間見えるように、とにかくお互いの足を引っ張りあうのですが、周りに良く思われたいので互いを思いやり気遣っているように見えるのが面白いところ。
ハイファンタジー作品ですが、コメディ色が強いです。
テイストとしてはこのすばに近いかもしれませんね。
この作品の作者、ほかにも人気のある勘違い系作品を書かれていたり、
漫画化、書籍化された商品をいくつも生み出している方で、
クオリティやストーリー構成、ボリュームも申し分ないので、勘違い系作品を初めて読む方にオススメです。
※他の作品については別途紹介するつもりです。
なろうURL
https://ncode.syosetu.com/n4023fj/
サムライトリップ・イノグランド
突然異世界イノグランドへ放り出されたちょっと口下手でコミュ障ぎみな少年ツカサ。
彼はその地を十年前に救った『サムライ』と呼ばれる伝説の戦闘集団。その再来と勘違いされてしまう。
人々に頼られてしまった刀も持ったことのない平凡普通の少年は、そんな状況から逃げ出そうと必死に行動するものの、動けば動くほど無敵のサムライと誤解され、確信され、サムライすげえと人々に敬われ、悪党には強すぎると恐れられてゆく。
これは、そんな彼が剣と魔法のファンタジー世界から元の地球へ帰ろうと奮闘する、カンチガイサクセスストーリーである。
オススメ度
個人的に勘違い系の重鎮的な立ち位置の作品です。
これまで挙げた作品は主人公が頭おかしいものばかりでしたが、この作品の主人公はTHE・普通の男の子。
気がついたら異世界に迷い込んでいた主人公。
特別なところは1点、たまたま手にした刀が異世界の言葉を翻訳してくれること。
ただそれだけで、本人はおとなしい性格をしており良識的な一般人。
普通に生活をして、もし元の世界に帰れたらいいなと思っているだけなのですが、
陥った状況や言動が上手いこと嵌まって周りがどんどん勘違いをしていくのが特徴です。
ご都合主義な描写はあるものの、はいはいテンプレテンプレとなる展開ではないのがこの作品のすごいところ。
キャラについても、主人公が一般人な分、周りが強烈な個性を持っており、仲間や敵が場を盛り上げてくれるのでダレることもないです。
テンポも良く、正直自分は「うーん、とりあえずちょっと読んでみようかな」という気持ちで読み始めたのですが、飽きさせないスピード感でフラグ建てや伏線の回収をするので一気読みできるのもこの作品の特色ですね。
主人公がまともで、周囲がどんどん勘違いしていく、そんな物語を読みたい方にオススメです。
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